ITコンサル系で就活をするということ

about

OB訪問対応や、学生さん向けにお話させて頂くたびに、アフタフォロー*1として送っていたメールしたり伝えていたことをブログにする。
よかれて思ってやっていたが、世間は世知辛く*2

こんなことを言われたり、キモがられたたりするのでブロードキャストすることにした。
構成としては、はじめに本稿でのITコンサルを定義してから、学生さんによく聞かれることについて述べる。 先に述べておくと、ITコンサル=だいたいSIerって話をするので、後の質疑はSIerとしてしか書いていない。

以下、私のバックグラウンド。

  • 大手SIerのサービス部門で保守運用開発を担当(SIはやったことなし)
  • 大学在学中に文系から理転してIT(学卒)
    • 学生さんからよくどうやってIT勉強しましたかって聞かれるので後述

ITコンサルとは?

多くの学生さんはITコンサルを目指す理由を「ITを使い経営支援!」みたいなイメージで語っている。残念ながら業界研究が足りない。戦略コンサルや商社が手に届かなくて、とりあえずコンサルって付いているし、ITコンサルいくかって学生に多いイメージ*3

ズバッと結論を言うと、ITコンサルと標榜されているものの多くはSIer(システムインテグレーター)である。要はSEである。
ITコンサルと言うと、〇〇総研系を多くの人が思い浮かべるだろうが、あれはほとんどSIerである。嘘だと思うなら、IRを見たほうがいい。コンサルティング部門が売り上げのどのくらいを占めているかと言うと、10%くらいだろう。また、ここで言うコンサル部門には、SIの上流工程は含まれない場合が多い。
下に例として日本総研のVorkersページを例示するが、バッチリ「コンサル/SIer」とある。君の考えるITコンサル会社を見ても、同じカテゴライズがされているだろう。

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例えばだが、アクセンチュアの仕事もほぼほぼSIである。ただ、日系と違い、デジタル領域とかDX領域*4に強く押し出しているかつ外資だからキラキラしてみるだけ。

そもそも何処の総研系や外資SIが採用からして、コンサルタントとITソリューションみたいに別れている段階で違うことやるよねと気がつくべきである。
コンサルのキラキラ感でITコンサルを目指している人は、悪いこと言わないから、戦略/経営/業務コンサルを標榜する会社を目指したほうが自己実現に繋がると思う。好きでもないシステムを嫌々やるのは自分にとっても会社にとっても不幸なことだ。

偉そうなこと言ってるお前はコンサル知ってんのか??と言われたら、ごめんなさい知りませんとしか言えない。私はパソコンオタクだからSIに入ったので、ごめんね。*5

以下、学生さんとの質疑でよく聞かれたこと。

よく聞かれるQ&A

どうやって情報収集していましたか?

就活全般
VORKERSを見まくる。だいたい会社の雰囲気わかるし、入社してみてあぁ大体事実だなと。

ITの観点から
ITの情報収集と言う点では、以下のサイトをザッピングしていれば十分である、面接時のネタ集めにもなる。

  • 日経XTech
  • @IT
    • 上2つはWebサイト。志望企業の社員が書いてるコラムとかあるはず。
  • Software Design
    • どこの会社の本棚にもあるであろう雑誌、非IT就活生には少し専門的過ぎかもだがエッセンスがつかめる

就活中に呼んだ本は何ですか?

『岐路に立つ君へ』

母校では楽単の神と呼ばれている福田和也先生だが、この本は神であった。自分の就業観にも一番影響を与えた人かも知れない。 自己分析し過ぎて辛い人は読むべし。

岐路に立つ君へ(小学館文庫)

会社四季報

下手だが1冊あると、業界全体が見えて勉強になる。説明会やOB訪問の前に読んで、くだらない質問をしないようにしよう。 自分はバイト先にあったので、サボりがてらよく読んでいた。全く興味のない業界のことも知れて面白い。

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『採用基準』

ちきりんの本。採用野っ子と言うより、企業においてどのようなリーダシップが求められるか書かれている。 グループディスカッションで変に仕切り始めるやつに読ませたい。

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『転職の思考法』

正確には、就職してから読んだ本だが、就活生にもおすすめ。仕事と人生の付き合い方について指針をくれる。 これ読んでから、会社選びしたほうが、納得感上がると思う。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

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情報系じゃないけどITでやっていけますか?

全く問題ない。大手ゼネコンの社員が図面ひけないように、SI(ITゼネコン)の社員もプログラミングできないやつうじゃうじゃいるらしい*6。 でも、これからの時代コードかけないSEはドンドン淘汰されていくよ。開発のサイクルが早くなっているので、社員もガリガリコード書く、下請けに投げている時間がもったいなって言うのが潮流。

あとやる気があればITの知識なんてすぐ覚えられるから大丈夫。情報処理試験はできる人からは、価値がないやら素人さんのための資格やら言われるが、初心者が勉強するにはいい指針だと思う。広く浅く勉強できるから基本情報技術試験をまず受けよう。

ITの勉強ってどうやってやりましたか?

私が大学で理転して、情報系として卒業したと言うとよく聞かれる。これはもう、やるしかない。単位取るために一夜漬けするのと一緒。
入社してから研修でも、OJTでもやるからそんなに構えることはない。学生時代は英語と簿記やっていたほうがいい。
特にカバーしないといけない領域が広いから、入社してから先輩に聞けばよし。でも、基本情報くらいの知識はマスト。

読んでよかった本は、過去ログにまとめているのでそれを参照して欲しい。

shuya.hatenablog.com

SIの技術者って技術できないんでしょ?

これは、部署によるとしかえない。私の部署の人たちは、みんな書けるしコンピュータが好き。配属ガチャ次第としか言えない。
もちろんエクセルと格闘する時間も長いが、エディタとプロンプトとにらめっこの時間も長い。 しかも、どでかい検証環境で遊べるから楽しいぞ。

もちろん同期見ていると技術採用でも半分くらいは非情報系であった。他社でも相違ないと思う。

なぜWebじゃなくてSI?

私の話すをするとこれはミッションクリティカルなシステムがやりたかったから。と、Webのような技術一本で戦い続ける所に私自身の勝ち筋が見えなかったから。
今思えば、デカいシステムってことならWebでもできるところたくさんありますね。 あとSIは年収が安定するし*7、福利厚生も大企業なのでいい点はポイント。

新技術を触っていたい

たまに「AIとかIoTとかBlockchain」やりたいんですって言う学生さんがいるが、野球でいうと「ピッチャー・4番・監督やりたい」って言っているようなものだと理解して欲しい。
それにSIerでは技術そのものをやる機会は少ない、どの技術が金になるかって意味でのR&Dはたくさんあるけど。
バズワードに踊らされてるなこいつ感が出ると、面接は落ちてしまうと思うので、地に足つけて、その君がやりたいものを語れるようになってから、やりたいと面接では言おう。
「AIで何やりたいの?」と聞かれた時に「とにかく人工知能やりたいです!」とかだと面接官はあまりいい思いをしないぞ。

最近のトレンドは?

  • DX (デジタルトランスフォーメーション)
  • アジャイル
  • DevOps
  • AI/データサイエンス
  • 働き方改革/テレワーク(在宅勤務)

上あたりがホットの話題である。DXとは要は、経費削減のためのITから、ITだけで金稼げるようにしようって言うのがトレンド。 経費削減のITとは、基幹システムとかのこと。人手がコンピュータに変わったものと考えるといいかも知れない。 ITだけで金稼ぐとは、ITだけで付加価値を作り金稼いでいるものと思えば良い。Webサービスを想像すればだいたいイメージがつくかな?

SIerはそしたらDX得意そう!って思うかも知れないが、SIはお客さんの作って欲しいシステムを作るだけだからDXが苦手なのである。 DXができそうな人材を人事はきっと探しているよ。

アジャイルや、DevOpsはナウい開発手法のことである。そこのSIerもこのような手法での開発ができる人材を育成しようと躍起である。

AIやデータサイエンティスト的なものは、大きく数学系的くくりから語れることが多い。もちろんこれもトレンド。経営系とかで統計に強かったりしたら、(RやPythonで回帰分析の経験等)自分をデータサイエンティストですと大見得切ってもいいかもよ。

2020年にもなるのに、IT企業で在宅勤務かって感じかもだが、これが現実。生産性改革と働き方改革がどこの会社でも大テーマ。

*1:親切心でやっていたが仇となった

*2:キモオタに風向きが強いだけかも

*3:偏見であるが私の肌感でもある

*4:デジタルトランスフォーメーション、SI界隈でしか聞かないけど、猫に杓子にみんなDX DX言うのが今の潮流

*5:サービス作ってるので正確にはSIやっていないけど

*6:私はまだ当たったことがない

*7:年功序列